お母さんはよくおやさまのお話をして下さいます。でも、ゆめちゃんはおやさまがどんな人なのかあまり知りません。そこで今日は聞いてみようと思いました。
「ねえお母さん、おやさまってどんな人なの?」
「おやさまはねえ、名前を中山みきさまというのよ。」
「おやさまは今から二百十二年前の四月十八日、大和国山辺郡三昧田村という所で生まれました。今は奈良県天理市になっています。
お父さんの名前は前川半七正信といいます。だからおやさまが生まれたときの名前は前川みきです。」
「何で名前が変わったの?」
「十三才で中山善兵衛さんのお嫁になったから苗字が中山に変わったのよ。」
「お母さんも同じで、お父さんと結婚する前は山本仁美という名前だったの。」
「おやさまは小さい頃からやさしく親切で、近所の子供たちのお世話をよくされたそうです。体は丈夫なほうではなく、友達と遊びに行くよりはお寺をお参りするほうが好きだったそうです。」
「でもお嫁に行ってからは、農家の仕事もしたし、夜は針仕事もして、おしゅうとさんやおしゅうとめさんのお世話もされたそうですよ。私はおじいちゃんやおばあちゃんと一緒に暮らしていないからその苦労は分からないけど、十三才といえば中学生位だから大変だったと思うわ。」
「お子さまは、六人おいでになりましたが、二人は幼い頃にお亡くなりになりました。おやさまがお年を召してからは、長女のおまささまと三女のおはるさまはお嫁に行かれ、長男の秀司さまと末女のこかんさまが、おやさまと永く一緒に暮らされたそうです。」
「こんな話があります。使用人の一人が怠けているのを見て、教祖はそれでも毎日『ご苦労さん』と声を掛けたそうです。そうするとそのうち、怠けていた使用人は、奥様に申し訳ないと人一倍働くようになったそうです。おやさまの優しい心が通じたのですね。」
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