ゆめちゃんの家では、毎年おぢばのお節会(おせち)に家族揃って行きます。お節会とは、天理教本部の神殿に元旦に供えられた餠をお雑煮にして参拝者に振る舞うことです。
何万人という人にお雑煮を出すのですから、それはもう大変な賑わいです。
大きなお餅を専用の餅切機で小さく切ります。こちらのテントでは大勢のひのきしんの人が炭火で餅を焼きます。
ゆめちゃんたちはテーブルの並んだテントに入り、お雑煮の入ったお椀を受け取ってテーブルに着きます。
「このお節会は、教祖がご在世当時から始まったのよ」
「へえ、そうなの!」
「そう、歴史が古いのよ。お雑煮の出汁が美味しいでしょう、二十日間かけて出汁に使う煮干しの内臓を丁寧に取っているから、美味しいのよ」
「愛情がこもっているのね」
お雑煮を食べたゆめちゃんたちは、神殿へと向かいました。きれいに整備された境内地を歩きながら、お母さんがゆめちゃんに話します。
「この境内地には昔鏡池という池があったのよ、そして小さなお社も建っていたの」
「池にはカメが何匹も泳いでいて、神殿に参拝に行くたびに見たものだわ」
「今思うと懐かしいわね」
「ええ、カメがいたの!」
ゆめちゃんには想像が出来ませんが、カメと聞いて嬉しくなりました。
ゆめちゃんはカメを飼っています。幼稚園児の頃、縁日の屋台で小さなミドリガメを買いました。今ではだいぶ大きくなっています。
「カメはね『くにさづちのみこと様』で、人間の皮膚がつながっている働きと金銭縁談よろづつなぎの神様なのよ」
「だから、肌がきれいになのは、くにさづちのみこと様の御守護を頂いているからなの。また、肌がきれいになるにはカメのような心にならなければいけないの」
「カメのような心とはね、カメは頭とお尻が同じ高さでしょ。また、カメを突っつくと頭を引っ込めるでしょ、低い心で優しく受ける心のことなのよ」
「わかった、私も美人になりたいから、カメのような心になるわ」
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