夕食の時、お母さんはゆめちゃんにこんな話をしました。
「昔、おぢばのお屋敷で勤めている人々が、時々、近所の小川へ行って雑魚取りをしました。そして、泥鰌、モロコ、エビなどをとって来ました。そして、それを甘煮にして教祖のお目にかけると、教祖は、その中の一番大きそうなのをお取り出しになって、子供にでも言うて聞かせるように、
『皆んなに、おいしいと言うて食べてもろうて、今度は出世しておいでや。』
と、仰せられ、それから、お側に居る人々に、
『こうして、一番大きなものに得心さしたなら、後は皆、得心する道理やろ。』
と、仰せになり、更に又、
『皆んなも、食べる時には、おいしい、おいしいと言うてやっておくれ。人間に、おいしいと言うて食べてもろうたら、喜ばれた理で、今度は出世して、生まれ替わる度毎に、人間の方へ近うなって来るのやで。』
と、お教え下されました。兎、雉子、山鳥などが供えられて来た時も、これと同じように仰せられたのよ」
「出世するってどういうこと?」
「ゆめちゃん、人間はね、今から約九億十万年前に親神様が造られたのよ」
「人間は五分で生まれたの。五分は約一センチ五ミリね」
「そして何回も生まれ更わりを繰り返して、今のような大きさの人間になったのよ」
「また、生まれ更わりを繰り返して、魚や鳥や哺乳類と変わっていったの。これを出世して人間に近づいたと云うのよ、学校で生物の進化を習ったでしょ」
「この進化して人間に近づいてくることを、教祖は出世とお話されたのよ」
「へえ!そうなの?」
「ゆめちゃんもお手伝いしてくれてありがとう、とか、肩をもんでくれてありがとうと喜ばれると、嬉しく思うでしょ。そして、また頑張ろうと思ってやるから、段々上手になっていくのよ。それと同じなのよ」
「分かった、喜べば出世するのね。今度お父さんをいっぱいほめて、会社で出世してもらおう」
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