ゆめちゃんの家には変わった物があります。それは、拍子木という固い木で出来た音を出すものです。それに、シンバルの小さいようなチャンポンです。
朝と夕のおつとめの時には、拍子木とチャンポンを叩いておつとめをします。おじいちゃんの教会では、その他に太鼓とすりがねというのがあり、朝と夕のおつとめに叩いているのを、ゆめちゃんも見ました。
ある時、ゆめちゃんはお母さんにたずねました。
「なぜおつとめの時に太鼓とかを叩くの?」
「それはね、おやさまはおつとめを教えられた時に、歌だけでなく鳴物を演奏するようにメロディや拍子も教えられたのよ。」
「鳴物には、九つの道具があるの。」
「まず、男鳴物として、拍子木、チャンポン、太鼓、すりがね、笛、小鼓の六つがあるのよ。そして、女鳴物として琴、三味線、胡弓の三つで、全部で九つ。」
「ふーん、なぜ九つなの。」
「それは、おつとめは人間が神様によって生かされている事を感謝し、その命の躍動を現わしているからなの。人間の身体にも九つの道具があるの。それは、目、耳、鼻、口、右手、左手、右足、左足、そして子供を作る道具の九つ。」
「九つの鳴物が心を合わせて演奏しないと良い音として聞こえないでしょう。人間の身体の九つの道具も同じで、バラバラに動くと何もできないのよ。たとえば、お掃除をしようと思って掃除機を持っても、目が天井を向いていれば掃除機は掛けられないでしょ。食事をしようと茶碗と箸を持っても、口がおしゃべりばかりしていたら食べれないでしょ。」「だから、おつとめで心を合わせて鳴物を演奏することは、良い音を出すだけじゃなくて、とても大事なことなの。」
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