「ナオじいちゃん、こんにちは」
「トメさんか、こんにちは」
「オレは今まで、宗教をやっている人に悪い人はいないと思っていたけど、最近のイスラム原理主義者のテロ事件を聞くと、分からなくなってきたんだ」
「宗教とカルト(反社会的な宗教団体)とは区別されるが、イスラム原理主義等はカルトとは違うんだな」
「イスラム原理主義の団体が何故テロ事件を起こすのか、それはイスラム教の教義を知らなくてはならない」
「世界にはいろいろな宗教があるが、それぞれに独自の教義を持っている」
「イスラム教は、キリスト教やユダヤ教と同じく唯一神を持っている、いわゆる一神教だ。信仰とは簡単に言えば神の教えを守ることと言える」
「それに対して、仏教は悟りを開くことが信仰だ」
「日本の神道は多神教、人間が死んで神になる。だから神様の教義はなく、祟りをする神をなだめるのが信仰と云えるな」
「宗教によってそれぞれ違うんですね」
「天理教はイスラム教と同じで一神教だ」
「ところでイスラム教にもどるが、本来のイスラム教では神と人間の関係は主人と奴隷の関係なんだ。人間は神の作った戒律を守らなければならない、戒律を破ったら罰を受けることになる」
「また、他宗教は敵とみなして撲滅する。同じイスラムの分派であっても同じなのだ」
「だが、近代ではその戒律も緩やかになって、厳しい罰を与えたり、敵を殺りくすることは無くなってきた」
「イスラム原理主義者は本来のイスラム教にもどろうとする人たちで、彼らにとってはアメリカやヨーロッパでテロを起こすのは、ジハードと云ってイスラム教の教えに則っていると考えているのだ」
「それに、カルトと違って、世界中に十六億人いるイスラム教だからやっかいなんだ」
「天理教は同じ一神教でも、神と人間の関係は親と子の関係だと教えられている。だから戒律は無い」
「ただ、人間は自由な心を使うことが出来るため、親神様の想いと違った心遣いをする事がある。それを心のほこりと教えている」
「ほこりの心を使ったら親神様は身上や事情でお知らせ下さるので、反省するようにと教えているのだ」
「イスラム教と天理教、どちらが良いかは分かるな!」
「分かった!」
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