親神様の十全の守護の続きです。
「親神様の十全のご守護の八番目は、出産の時、親の胎内から子を引き出す世話、世界では引き出し一切の働き」
「子供を産むことを何故おさんと言うか知っとるか?」
「いえ」
「出産には神様の三つの働きが必要だ」
「まず、親と子の胎縁を切る」
「次に、親の胎内から子を引き出す」
「最後に、後じまいをしてつなぐ」
「この切る、引き出す、つなぐの三つのご守護があるから出産ができるのだ」
「それで、おぢばでは、安産の証拠としてをびや許しを頂くことが出来る」
「うちのかかあも頂きやした」
「出産だけでなく、万物の成長をさせる働きもある」
「人間や動物が成長するのも、作物や草木が伸びるのも、引き出しの働きのおかげなのじゃ」
「人間は夜寝ている間に背が伸びると云う」
「これは、元の理から云えば、方角が西だからだ」
「西は太陽が沈む方角で夜、東は太陽が昇る方角で朝、という意味合いがある。だから西の夜には引き出しの働きが活発になり、身体が成長する」
「では、東は何だと思う?」
「分かりやせん」
「東は飲み食い出入りの働きじゃ」
「それで、朝起きの人は胃腸の病気になりにくいと云う」
「へえ、そうですか」
「誰かが、朝とはいつの事ですか、と聞いたことがある」
「それで、先人はお日様が地平線から顔を出す時、つまり日の出の時だと言ったそうだ」
「それで、朝起きとは、日の出の時には活動できる状態にすること、つまり、日の出より十分から二十分位前に起きる事だ」
「おぢばでは、朝夕のおつとめは、日の出、日の入りの時間に合わせて行っている」
「引き出しの働きは、人間でも農作物でもただ大きくするという事だけではなく、成長させるという事なのじゃ」
「子供が大人になっていく過程で、身体も大きくなるが心も人間として成長していく」
「心が成長していくことを成人と云う」
「成人とは、子供の心から大人の心へ、大人の心から親の心になる事じゃ」
「子供の心は、一つ二つ。自分の事だけを考えて、また他人(親)にも自分の事を考えてほしいと思う心」
「大人の心とは、一つ一つ。自分は自分、他人は他人と分けて考える心」
「親の心とは、二つ一つ。自分の事も考え、他人(子供)の事も考えて両方同じように思う心」
「こふき本に、『引き出す者を玄人と言う』と書いてある」
「玄人とは、その道の熟練者の事じゃ、お道で言えば教会長だな」
「信者を子供の心から親の心へと成人させるのは教会長の務めなのじゃよ」
「今度うちの会長に言ってやろう」
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