ナオじいちゃんの孫に雄介君という男の子が居ます。雄介君は小学五年生です。
最近、ナオじいちゃんは雄介君が自分の兄の幸之助の生まれかわりではないかと感じています。
ナオじいちゃんの兄の幸之助さんは、勉強ができスポーツが万能で、みんなに好かれました。でも、病気が原因で若くして出直したのでした。
雄介君はその幸之助さんに面影が似ているのでした。それに、勉強もできスポーツも上手く学校の人気者です。
ただ、幸之助さんは良いところばかりではなかったのです。才能があるだけに、人を見下すことがあります、高慢なんです。ナオじいちゃんはそれで幸之助さんが若くして命を失ったのではないかと思っています。
雄介君も人を見下すことがあり、欠点も似ているのです。
ナオじいちゃんは雄介君を見ると幸之助さんを思い出し、若くして出直さなければ良いがな、と思っていました。
「ナオじいちゃん、こんにちは」
「おう、雄介か。元気か?」
「元気だよ。ナオじいちゃん、僕、秋の大会で優勝したんだよ」
雄介君は野球部に入っています。エースで四番です。
「優勝はしたんだけど、危ないところだったんだ。あいつら下手だからエラーして逆転されそうになったんだ」
「雄介、おまえはそう云うところがいかん。野球は団体競技なんだから一人で野球は出来ない、チームワークが大切だぞ」
「チームの仲間は足を引っ張ることもあれば、お前のミスをカバーしてくれることもあるだろう。けなしても強くなれないぞ、逆に感謝したら頑張ってくれると思うぞ」
「そうかな」
「いくら勉強が出来ても、スポーツが上手くても、人間は一人では何にも出来ないんだよ。周りに支えてもらって実力も発揮できるんだよ」
「才能は神様からの贈り物なんだ、だから神様が喜んでくれる、助け合いの心が無ければ、その才能も消えてしまうかもしけないぞ」
「わかった!」
雄介君は素直に分かってくれました。
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