お隣のトメさんがやってきました。
「ナオじいちゃん、昨日危うく車に轢かれそうになったんだ。最近変なことが続いているんだ」
「お祓いしてもらった方が良いのかな」
「日本には厄払いと云う行事がある。ある歳になると厄年と云って悪いことが起きるから神社で祓ってもらうんだな」
「男は二十五歳、四十二歳、六十一歳、女は十九歳、三十三歳、三十七歳が厄年、男は四十二歳をもって女は三十三歳をもって大厄となすと云われる」
「だが、おみちの教えではこのように教えている」
『不足に思う日はない。皆、吉い日やで。世界では、縁談や棟上げなどには日を選ぶが、皆の心の勇む日が、一番吉い日やで。』
「皆吉い日だから悪い日はない。悪い日がないから悪い月もない、悪い年もないことになる」
「悪い年がないから悪い歳もないと云うことになる」
「じゃ何故厄払いをするんです?」
「教会でも厄払いをすることはあるが、これは本当は役祝いじゃ」
「男の四十二歳は、会社では重要な仕事を任される歳だ。だがい時のようには身体の自由がきかないし、若い時の無理がたたって身体に悪いところが出てくる」
「女のは三十三歳は子育ても家事も一番忙しい時だ」
「男女とも大事な時でもあり病気にもなりやすい歳だから、生活の知恵で身体に気を付けなさいと云うのが厄払いの本当のところだろう」
「おみちの教えでは、蒔いたる種はみな生える、蒔かぬ種は生えない、と教えている」
「自分の身に起こってくることは、みな自分の心遣いや行いが原因となって起こってくることなのだ」
「原因は他人のせいでも、社会のせいでも、年回りのせいでもない、みな自分のせいなのだ」
「だから、厄払いをする時に祓うのは、その人の心をはらうのだよ」
「へえ、そうですか」
「ついでに女房の心も祓ってもらおうかな」
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