孫の雄介君がやって来ました。
「ナオじいちゃん、明けましておめでとうございます」
「おめでとう、元気だったか?」
「うん、元気だよ。ナオじいちゃんも元気そうだね」
「わしは百十五歳まで生きるから、まだまだ元気じゃぞ」
「じつは僕、高校でボランティアクラブに入っているんだけど、今活動が出来ないんだ」
「コロナ禍で部活が中止になっているんだ」
「集まってどこかに行くことは出来ないけど、何か出来る事は無いかと考えているんだけど、なかなか良い事が見つからなくて」
「今まではどんなことをしてきたんじゃな」
「そうだね、老人ホームを慰問したり、養護施設のイベントを手伝ったりしてきたんだけど、どちらも行くことが出来なくて」
「そうじゃな、今は行動が制限されているからな」
「こう考えたらどうじゃろう」
「実際に会わなくても出来る事は何か」
「それと、どういうことが望まれているのか、を考えてみることじゃ」
「老人ホームのおじいちゃんやおばあちゃんが、どういうことを望んでいるのか、と云うこと?」
「養護施設の子供たちが、どういうことを望んでいるのか、と云うこと?」
「そうじゃ」
「相手の望んでいる事を考えて、それが会わずに出来ないかどうかを考える、と云うことだね」
「分かった、ありがとう」
後日、雄介君から連絡がありました。テレビ電話を使って、おじいちゃんやおばあちゃんの昔話を聞いてあげるボランティアをしているそうです。
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