隣りのトメさんがやって来ました。
「よう!ナオじいちゃん、いるかい」
「トメさんか、今日はどうしたね」
「どうしたもこうしたもないやね、コロナで自粛自粛、家から一歩も出ることが出来ないやね」
「パチンコにも行けない」
「ほう、それは良かった。小遣いが減らずに済んだ」
「からかわないで下さいよ」
「そうだな、トメさんばかりじゃなく、今はみんなが我慢している」
「ウィズコロナと云って、コロナと共に生きる時代だと言われている」
「ところで、コロナウィルスが悪いと言っているが、今の生活が大きく変わったのは、はたしてコロナのせいだけだろうか」
「わしはそうは思えないのじゃ」
「どういうことですかね」
「生活が変わる兆しはそれぞれにあったのじゃないか」
「それが、コロナをきっかけにして表に現れた、難しい言葉でいうと顕現化したのじゃないかと、わしは思う」
「コロナはきっかけにすぎないのじゃよ」
「そう言えば、あっしもパチンコ止めたいと思っていたんだけど、ついつい誘惑に負けてパチンコ店に行ってしまっていた」
「なるほど、ナオじいちゃんの云う通りかも知れないな」
「自分にとって必要なことは、コロナが有ろうが無かろうが変わらないのじゃないかな。コロナが治まれば、また出来るようになる」
「でも、そうでないことはコロナをきっかけに止めてしまう」
「大事なことは、今は自分の事を見直す時だと思うことじゃ」
「惰性に流されてやってきてはいないだろうか、少しの手間暇を惜しんで大事なことを見失ってはいないだろうか、と考えることじゃ」
「コロナで何かが変わるのではない、コロナで自分の生き方を変えるんじゃよ」
「ナオじいちゃんありがとう、先が明るくなってきました」
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