ハルさんは好き嫌いがハッキリしています。ハッキリしすぎるくらいです。
人でもそうです。サングラスを掛けたさかさまにした名前のタレントがテレビの画面に映ると、すぐチャンネルを回してしまいます。
このチャンネルを回すと云う表現は、若い人には分からないかも知れません。初期の頃のブラウン管テレビには、丸い装置が付いています。それを回してチャンネルを切り替えます。それて、チャンネルを回すと云うのです。
ついでに、昔は電話もダイヤルを回していました。それがピ、ポ、パになり、今はタッチです。ハルさんは、ピ、ポ、パまでは良いのですが、タッチは出来ません。
今は、テレビも電話も一緒になったものが出ています。息子がハルさんに「アレクサ」を買ってくれました。声で操作しますが、ハルさんはそれも苦手です。ニュースを見たり、音楽を聞いたり、質問に答えたりしてくれますが、ハルさんもっぱら写真を見て楽しんでいます。孫の結婚式や、曽孫の入学式などなど、食い入って見ています。
話がそれてしまいましたが、嫌いなものは見ない、好きなものは毎回見ます。番組で云うと、鶴瓶の・・・・・とか、・・・の一軒家とか、毎週欠かさず見ています。歌は昭和の歌謡曲なら見ますが、今の騒がしいものはダメです。
食べ物は、魚が好きです、それも魚のじゃっばが好きです。じゃっぱと云うのは、身を下ろした後の頭や骨の事です。
今はその店が無くなりましたが、通っていた魚屋がありました。そこで、カレイやホッケを買うのですが、黙っていると三枚に下ろしてしまいます。そして、身だけを包んで渡します。ハルさんは「私はそのじゃっぱが欲しいのよ」と言えずに、身だけを受け取って帰ります。
そんな日が続きましたが、ある時思い切って言いました。「魚は下ろさないでそのままで頂戴」と。それ以来、ハルさんは美味しいじゃっぱを食べることが出来ました。魚屋さんが親切でやっていたことが、ハルさんにとっては迷惑だったのです。
食べ物の話が続きますが、ハルさんは好きなものを見つけると、そればかり食べます。スーパーに行って目的の物が見つからないと、息子に見つけて来いと命令します。息子にとってはいい迷惑です。息子は、もっといろんな物を食べてみろよ、と心では思っているのですが、言えません。ハルさんの食わず嫌いはこれからも続くでしょう。
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