ハルさんは元気だと云っても今年で95歳です。
『私は入院したことがないのよ』と豪語していましたが、ついに入院する日が来ました。
ハルさんの名前は、はること云います。春夏秋冬の春ではなく、天気の晴れの子で晴子です。
ハルさんは自分の名前の通り晴れが好きです。まあ、晴れが嫌いな人は居ないと思いますが。
ハルさんは特に晴れが好きなのです。雲一つない快晴が好きです。
また、ハルさんは曲がったことが嫌いです。真っ直ぐでなければなりません。自分もそうだし人にもそれを求めます。
ハルさんは、教祖の逸話篇の中では「天の定規」が一番好きです。
特におみちの事に関しては、厳しいのです。
息子が今日は疲れたから夕づとめを休もうかな、と言ったら、烈火のごとく、それでも会長か、人の上に立つ人間の言う事か、と息子は怒られました。
そのハルさんが入院することになったのです。
心臓と肺が弱ってきたので、お医者さんに『そく入院です』と言われました。
自分ではそんなに悪いという自覚が無いので、少し息切れがするし胸が痛いけど、そんなに悪いのかな、と思いながら入院生活が始まりました。
いろいろ検査をした結果、お医者さんは、『危ない所でしたよ』と息子に告げました。
ハルさんは酸素のチューブを付けられ、重病人の様子ですが、『このチューブじゃまだわ、トイレにも行けやしない』と酸素のチューブを邪魔者扱いです。
やっとチューブが取れて、自由に動けるようになったら、「暇だ」コールです。
息子が病室に来ると、『いつ退院できるの』と退院の催促です。『何もする事がなくて退屈なのよ』と言います。
『病んだり痛かったりしないから、飽きるんだから、良い事じゃないか』と息子が言っても、耳を貸さないのです。
だから、見舞客がしばらく居て帰ろうとしてもなかなか放しません。三時間も居た見舞客もあったそうです。
やっと無罪放免となり、退院しました。
退院してすぐに言った言葉が、息子への文句です。ハルさんが入院している間に、家の中が整理されて綺麗になったのですが、自分の大事なものが見つからないと言うのです。
ともかくも退院して良かったと思うハルさんでした。
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